6/25 賢治さんを語る 宮澤和樹さん

〜おじん瑞希特別企画〜 賢治さんを語る 宮澤和樹さん

しきの会のスタッフも関わらせていただいているイベントのご案内です。来る6月25日(土)に名古屋市北文化小劇場で「〜おじん瑞希特別企画〜 賢治さんを語る 宮澤和樹さん」が行なわれます。宮澤賢治さんの御実弟清六さんのお孫さんである宮澤和樹さんを名古屋に招いての貴重な講演会となります。
以下は主催者である童話作家おじんシンガーソングライター瑞希による会の紹介です。


清六さんとお会いした時

鬼頭隆(おじん)
〝カタクリの花が満開です。御来花下さい〟宮澤清六さん(宮澤賢治さんの御実弟)からのお手紙の一文です。そのお言葉に心動かされ僕(おじん)は妻と岩手花巻の清六さんの賢治さんの御自宅にと参りました。当時88歳の清六さんは賢治さんの雰囲気そのものだったと思われるような温厚で熱を帯びた方でした。普段緊張したことのない僕がめずらしく緊張の色を濃くしていました。
清六さんはこう言われました。
「鬼頭さん、童話や詩で有名になろうとか、お金儲けをしようとか思わないでください。賢治もそうしましたから。奥さん、どうかこの人を助けてあげて下さい。この国では童話や詩で食べていくことは大変なことです。賢治も父、母、姉みんなで支えましたから、どうぞお願いします。」
そして清六さんは深々と頭を妻に下げられたのです。
僕は泣きました。号泣しました。
その頃の僕は一銭にもならない童話をただ書き続け、生活は困窮、将来の保証など皆無で知り合いの人達からはヒモとか、あんな男にはなりたくないとか、甲斐性なしなどと言われ続けていました。ですから、88歳の清六さんのお言葉には思いの他勇気づけられました。
童話を書き出し童話とは何かと考え、たどりついたのは賢治さんの童話〝銀河鉄道の夜〟その中の〝さそりの星〟その驚きから始まり、いっきに賢治さんの童話・詩を読みふけり、その後に出会った清六さんの御本〝兄のトランク〟は増々、童話創作に夢中になるきっかけでした。そして、
〝カタクリの花が満開です 御来花下さい〟です。
清六さんにお会いし僕の人生は始まり、そして決定づけられました。
僕が童話・詩を一生書き続けていこうと誓ったその日「1992年4月21日」賢治さんの月命日の日のことでした。

和樹さんとお会いした時

鬼頭瑞希(瑞希)
その8年後のことです。
私、瑞希がシンガーソングライターを始め、ピアノのあるところに飛び込んでいくというひとり旅に出かけました。東北、宮城、秋田、岩手と2週間で25件程出会った人の御自宅、小学校、中学校などでピアノ弾き語りをしてきました。
ノドがかわき、ふと立ち寄った喫茶店にヨーロッパの古いピアノがありました。ピアノに出会ったら弾かせてもらうひとり旅です。声をかけました。
「すいません。このステキなピアノ弾かせていただけませんか?」
「いいですよ、どうぞ・・・」とマスター。
歌い始めます。ピアノに惹かれます。夢中で弾いていきます。歌い続けていきます。歌い終わるとマスターと女性の方が拍手をしてくれました。
名刺交換しましたら、「名古屋の鬼頭さん?名古屋にはひとり鬼頭さんという知っている人がいます。おじんと言って童話を書いてる人です。」
「えっ!?」と驚き、いただいた名刺をのぞきこむと・・・
〝林風舎 宮澤和樹・・・〟
「え、ええ!おじんは父です。宮澤さん?まさか・・・」と私。「え〜、娘さん?そうなんですかぁ、はい賢治の・・・」と和樹さん。そして、続けられて「宮澤賢治さんの弟の清六さんが、僕の祖父でして、ここに今一緒に聞いたのが清六さんの娘、僕の母の潤子です。清六じいちゃんから、おじんのこと聞いていまして。」目から涙がこぼれました。
私はそれから和樹さん清六さんの御自宅にそのままお邪魔することとなり、その日が2000年4月21日くしくもカタクリの花満開の時。しかもカタクリの花は一度散ると同じ花がその8年後に咲くと言われる花だそうで、私と父が見たカタクリの花は8年という年月で同じ花を見せてくれたということでした。
しかも、同じ4月21日賢治さんの月命日でした。不思議なことでした。
私はそれからほぼ毎年、和樹さんのお家にお邪魔したり和樹さんのお店林風舎さんにてピアノ弾き語りをしたり新曲作りをさせていただいています。
和樹さんの娘さん香帆さんとは、香帆さんが小学校の時より香帆さんの奏でるヴァイオリンと私のピアノで賢治さんの〝星めぐりの歌〟やクラシックや私のオリジナル曲などを演奏しあうようにもなっていったのです。
カタクリの縁、賢治さん、清六さん、潤子さん、雄造さん、和樹さん、和樹さんの奥様やよいさん、そして香帆さん、その弟さん達など、みなさんとの不思議な縁・・・その縁に導かれるように、今回の〝賢治さんを語る〟が実を結びました。
カタクリの花のようにこの会に花が咲きますことを願って6月25日を迎えることにしようと思っています。
どうぞ、御来名、御来館下さいますよう。

2016年4月21日

※この日4月21日は2016年です。おじんが清六さんにお会いした1992年から24年後です。カタクリの花は8年でくり返されます。この日、岩手花巻はおじん・瑞希が見たカタクリの花が満開でしょう。


【おじんからみた出演者】

宮澤和樹

「宮澤和樹さん」

木の実が風にあおられ、地面に落ちました。その実をひろいあげ「これ、あのやまなしです。賢治さんからおじんへの贈り物です。さぁ、どうぞ。」賢治さんの童話の〝やまなし〟です。口に含むと甘い・・・岩手花巻にお邪魔した時の和樹さんです。賢治さん御実弟清六さんのお孫さん。賢治さん、清六さんのお心を受け継ぎ賢治さんのことをくわしくわかりやすく御講演(全国各地)されています。そのお話ぶりは賢治さん?と思わせてもらえるほどです。賢治さんの御本や賢治さんにまつわるグッズが1階に並べられ、2階はピアノのあるカフェになっている林風舎さん、そのオーナーでもあります。著書に〝宮澤賢治 魂の言葉〟(ロング新書)、〝しあわせ読本1幸せの種をまこう〟(フェリシモ出版)などがある。

▼林風舎
http://www.e-haweb.com/home/rinpoosha/

「宮澤やよいさん」

2度目の賢治さんのお家(現在は和樹さんのお家)にお邪魔した時、お亡くなりになった清六さんからおじんが聞いた話をやよいさん、和樹さんに話そうとしましたら、その話に身体ごと、心ごと寄り添うように聞いていただいたやよいさんの姿が今も印象深く残っています。書家であられるやよいさんは賢治さんのお言葉を中心に書の創作活動をされながら、花巻東高校の講師もされ、やはり家族に寄り添い賢治さん、和樹さんに寄り添ってみえます。賢治さんの詩「永訣の朝」の朗読は涙流れます。

「宮澤香帆さん」

名古屋駅にお迎えに行き、車中で待っていましたらなんだかまぶしい光がたちこめました。香帆さんでした。気さくで素直でやさしくて強くて・・・若いのにどうしてそんなに気配りできるのでしょう。そんなことを、それ以来ずっと思っています。現在、同志社大学法学部で学び同大学の交響楽団に所属するヴァイオリン奏者です。陸上ジュニアオリンピック100メートル走全国8位入賞と高校でも活躍し文武両道。和樹さんの講演でもヴァイオリン演奏をし、時々瑞希のコンサートでも演奏してもらっています。

「鬼頭瑞希」

「新曲できたよぉ〜、おじん聞いて〜。」ピアノの前にいる瑞希の大声にすっとんでいく僕。うまれたばかりの歌をさいしょに聞いて、2人でああだこうだとやりあっていく。それはやりがいのひとつともなっています。父娘というより創作同志という感じになっています。シンガーソングライター、ピアニストとして活動し、各学校などにて公演も行いながら、岐阜中日文化センター「歌声はピアノにのって」講師。自宅にてピアノ講師もしています。FMとよたラジオ・ラブィートのパーソナリティを約10年つとめました。おじんの童話会にて即興ピアノ演奏もしています。著書にチャイルド本社「ぷう」ちゃがまっほ(オペレッタ)などがあります。

▼鬼頭瑞希のブログ
http://ameblo.jp/piano-cocoro-oto/

「鬼頭隆(おじん)」

自分の人生であって人生でないような・・・そんな気がしている昨今です。賢治さん、清六さん、和樹さんその御家族の皆さんとお会いできたこと。童話を書いて各地に朗読していること。娘瑞希と共に公演していること。
童話や詩を書き終えるたび、〝賢治さん〟と心の中で呼びかけています。そのことは一生、残りの人生変わらないと思います。童話作家として全国の学校にて自作童話朗読を行う。岐阜中日文化センター「楽しい朗読」と童話創作教室の講師をつとめる。第44回中日教育賞受賞。著書に〝アリマス国とアリマセン国―アリ王国物語〟〝ぞうさんのふとん〟(ひさかたチャイルド)などがある。

▼おじんのブログ
http://ameblo.jp/ozin-sousakudouwa/

「〜おじん瑞希特別企画〜 賢治さんを語る 宮澤和樹さん」

■日時
2016年06月25日(土曜日)
午後1時30分開演(午後1時開場)
■入場料
大人 3,500円(当日4,500円)/小・中学生 2,000円(当日3,000円)
■出演
宮澤和樹(講演)
宮澤やよい(語り)
宮澤香帆(ヴァイオリン)
おじん(語り)
鬼頭瑞希(ピアノ・歌)
■主催
おじん瑞希特別企画2016

企画演出・舞台監督:鬼頭隆(おじん)、照明:渡辺明治、音響:白濱惇、題字:宮澤やよい、広告美術:安達一輝

■場所
名古屋市北文化小劇場
住所)名古屋市北区志賀町4丁目60番地の31
・北図書館に併設
・地下鉄名城線「黒川」4番出口より北へ徒歩12分
名古屋市北文化小劇場
■チケットお申し込み、お問い合わせ
Tel/Fax. 052-991-7690
※しきの会のメールフォームからもお問い合わせいただけます。⇒メールフォームはコチラ